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アマゾノミクス

アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える

★★

アマゾンの元チーフサイエンティストが書いたデータ分析の本ということで、AWSというクラウドサービスで世界一のシェアを誇り、データ分析でも世界の最先端を行っているアマゾンでの知見が数多く披露されていると思い読んでみましたが、肩透かしを喰らいました。

守秘義務が非常に厳しいアマゾンのことなので、紹介できない事例も多いのでしょうが、本書で紹介されているアマゾンでのデータ分析の内容は旧知のものがほとんどでした。また、著者は現在アマゾンをやめてアリババやゴールドマン・サックスなど様々な企業にデータ分析のコンサルティングサービスを提供する企業を運営していますが、そうした他社の事例についても守秘義務のためか目新しい事例に乏しかったです。

データ分析の最新事例ではなく、社会のあらゆる局面でデータ分析が用いられるようになってきていて、さらにビッグデータをアマゾンやグーグル、フェイスブックといった一部の企業が独占してしまっている状況をどのように個人にも裁量が働かせる健全な状況に戻せるのかという提言が本書の主眼となっています。

アマゾノミクスから、私と同じような期待を持って本書を手に取る人は多いでしょうし、著者の主張をよりダイレクトに想起させるタイトルが他にもあったのではないかと感じました。

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データ分析の力

データ分析の力 因果関係に迫る思考法 (光文社新書)

レベル3 ★★★

ビッグデータという用語が数年前からあらゆるビジネス分野で頻繁に使われるようになっています。カメラやセンサーを多数積んだスマホが世界中に何十億台とばら撒かれたことで、画像データを中心として世の中のデータ量が爆発的に増えました。また、スマホの普及により種々のセンサーが量産効果で安くなり、データを処理するチップも高性能化、低消費電力化が進んだことで、IoTなどこれまでデータが取得していなかった分野でもリアルタイムでデータ収集できるようになりました。

要は世の中のデータ量が飛躍的に増えたことで、ビッグデータがキーワードになっているのですが、本書はその取得したデータを使って正しく分析を行い、意味のある結果を導く手法についての入門書です。世の中のデータ量が増える一方、分析のリテラシーが向上しているとはいいがたく、折角取得したデータを無駄にした事例はメディアでもよく見られます。

本書にもあるようにデータ分析は、おいしい寿司を握るのと同じで、新鮮なネタ(良質のデータ)だけでは不十分で、腕の良い職人が寿司というフォーマットにまで仕上げる(きちんとバイアスを取り除いた分析を行う)必要があります。

データ量という寿司ネタは世界中で様々な素材が手に入るようになった一方、腕の良い寿司職人の数は中々増えず、おいしいお寿司を出すお店は限られているという現状においても、データ分析と寿司の世界は共通しています。

本書は集中すれば数時間で、世の中にあふれている質の低いデータ分析の問題点と、良質なデータ分析を行う手法について理解できるように、コンパクトにまとまっています。タイトルは固いですが、データ分析のリテラシーの向上に資する良書ですから、幅広い層の人に読んでほしいと思います。

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原油暴落の謎を解く

原油暴落の謎を解く (文春新書)

★★★

原油価格の指標であるWTI原油は、2014年前半に1バレル110ドルに迫っていたところから急落し、16年前半には一時20ドル台まで下がりました。そこから、反発に転じて現在は50ドルをわずかに下回るレンジで推移しています。

原油は、全てのコモディティ(商品)の中で取引量が最大です。その原油価格が上記のように2‐3年でここまで激しく動くことは地上の何十億人の生活にも大きく影響します。本書は原油価格の形勢メカニズムについて、最新情勢はもちろん、原油についての人類の歴史的な歩みについてもコンパクトにまとめられています。

日本で原油価格をテーマとした書籍には、大国や産油国の地政学的な思惑や、国営石油会社・スーパーメジャーといったエネルギー企業の陰謀といった怪しげな言説が目立ちますが、本書は原油に関する実務に長く関わった著者ですから、客観的な事実に基づいて信頼性の高い議論が展開されています。

米国の競争力の源泉として、金融やITについての論考は多くありますが、エネルギー産業も勝るとも劣らないほど、米国が突出して強いことが本書を読むとよく分かります。特に、シェールガスやシェールオイルといった非在来型のエネルギー資源をなぜ米国だけが独占できるかについての本書の記述はとても勉強になりました。原油という身近な存在ながらも、その価格形成はほとんどの人にとって不可解な商品について、勉強を始める上で最適なスタートラインとなる良書です。

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あのバカにやらせてみよう

ネット起業!あのバカにやらせてみよう

★★★

1990年代後半から2000年代初頭にかけてのITバブルにわく、渋谷を中心とした国内の起業家たちの様子がよくまとめられています。ジョホールで同じコンドに住む加藤さんに薦められて手に取りました。加藤さん自身も何度か本書に登場します。

当時から20年近くが経過していますが、本書に登場する中でも孫正義氏、南場智子氏、松本大氏、松山大河氏などは今でも同じポジションで活躍しています。ただ、裏を返すとこの20年でほとんどの起業家が一線を去ったことになります。

1990年前後のダイヤルQ2ブームで誕生した通信関連ベンチャーが、1995年のWindows95誕生とインターネット普及、2000年のiモード誕生により百花繚乱の様相を呈していくことが本書から分かります。私は2000年当時、大学生だったので起業家コミュニティのことをほとんど知らなかったので、この時代の雰囲気や起業家たちの関係性がよく分かりました。

本書が取り扱った時代の後も、2005年前後のライブドアを中心とした盛り上がりや、100億円以上の評価額の未上場企業が続々と誕生する現在など、定期的に起業の盛り上がりが日本で起きています。残念なのは語られている言葉が、「どうすればシリコンバレーのような起業が当たり前の世界を作れるか」、「米国とのベンチャー業界の差はどうしたら埋められるか」など、本書とほとんど変わらないことです。

本書の締めはiモードが爆発的に普及し始めたところで終わっています。日本初のグローバルITサービスが生まれるかもしれないという期待が語られていますが、結果的にサービスだけでなくソフト、ハードウェアまでアップルやグーグルに抑えられてしまった結果はあえて多くを語らなくともご存知でしょう。

今から10年後も、同じ言葉が繰り返し語られることのないように、再び盛り上がりを示している日本での起業ブームを本物の流れとしていかなくてはと感じました。

 

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