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アマゾノミクス

アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える

★★

アマゾンの元チーフサイエンティストが書いたデータ分析の本ということで、AWSというクラウドサービスで世界一のシェアを誇り、データ分析でも世界の最先端を行っているアマゾンでの知見が数多く披露されていると思い読んでみましたが、肩透かしを喰らいました。

守秘義務が非常に厳しいアマゾンのことなので、紹介できない事例も多いのでしょうが、本書で紹介されているアマゾンでのデータ分析の内容は旧知のものがほとんどでした。また、著者は現在アマゾンをやめてアリババやゴールドマン・サックスなど様々な企業にデータ分析のコンサルティングサービスを提供する企業を運営していますが、そうした他社の事例についても守秘義務のためか目新しい事例に乏しかったです。

データ分析の最新事例ではなく、社会のあらゆる局面でデータ分析が用いられるようになってきていて、さらにビッグデータをアマゾンやグーグル、フェイスブックといった一部の企業が独占してしまっている状況をどのように個人にも裁量が働かせる健全な状況に戻せるのかという提言が本書の主眼となっています。

アマゾノミクスから、私と同じような期待を持って本書を手に取る人は多いでしょうし、著者の主張をよりダイレクトに想起させるタイトルが他にもあったのではないかと感じました。

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人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか

  • 2017年2月24日 8:00 AM
  • ★★

人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?―――最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質

★★

人工知能が頭脳ゲームで人類最強を倒したというと、グーグルが開発したアルファ碁が昨年に韓国のトッププロを倒した囲碁が世界的な話題となりましたが、本書は将棋ソフトで最強であるポナンザ開発者の山本氏による著書です。

アルファ碁が一昨年末に欧州チャンピオンを倒し、昨年3月に韓国最強で世界トップクラスのイ・セドルを4勝1敗で倒し、さらに今年の頭にはオンライン上の対戦で人類トップクラスに対して60連勝するなど、囲碁についてはまだ10年以上かかるという見方が大勢であったところから、わずか1年半で人類を超えるところまで一気に進化しました。

将棋については囲碁ほど急速ではありませんでしたが、電王戦という形で5年ほど前からプロ棋士と将棋ソフトの対局が始まり、その中でもポナンザは全勝を守るなど、圧倒的な強さを示しています。本書では開発当初はアマチュアにも全く勝てないレベルから、10年以下で人間のトップクラスでもかなわないほどの強さまでに進化した過程を、メディアでもよく使われるようになってきた機械学習やディープラーニングといった人工知能に関する用語の解説も含めて、分かりやすくまとめられています。

著者にとって畑違いである囲碁の世界の人工知能についても、アルファ碁とイ・セドルとの戦いを中心に巻末での対談含めて色々な情報がちりばめられています。AIの最新事例について取り扱った書籍は、技術開発を主導している米国で書かれて、日本語に翻訳されているモノがほとんどです。本書は日本人が初学者向けに分かりやすく解説してくれた貴重な入門書ですから、囲碁や将棋ソフトを見て人工知能に関心を持った人はぜひ手に取ってください。

 

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カジノとIR

カジノとIR。日本の未来を決めるのはどっちだっ! ?

★★

世の中ではハイパークリエイターという肩書や、沢尻エリカさんの元旦那といったところばかりがクローズアップされている著者の高城氏ですが、パーマネントトラベラーとして世界中を旅して各国の最新事情に詳しく、東京でのカジノ解禁についてのパネルのメンバーであったこともあって、世界中のカジノの実態がコンパクトにまとまっています。

トランプ次期大統領との会談の直後に急ピッチでカジノ法案が可決されたために、その背景にあるメカニズムについて色々なうわさが飛び交っていますが、めまぐるしい展開から議論が十分ではないとカジノに対して批判的な国民が過半を占めているようです。

本書では日本で今後どのようなカジノリゾートを作っていくべきか、最もお手本になると著者が考えているシンガポールのIR(統合型リゾート)を中心に、各国のカジノの展開について網羅的にまとめられています。日本では、そもそもIRがどんなものか知っている人が少なく、これ以上ギャンブル中毒者を増やすことにつながるという、IRの本質とはあまり関係ない議論ばかりが先行しています。

シンガポールで暮らしていて、マリーナベイサンズというIRによりシンガポール経済が活性化している成功例を目の当たりにしているだけに、今後の日本のカジノのあるべき姿について考える上では本書の内容は最低限の議論のベースとして把握しておくべきでしょう。

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ネルソン・マンデラ 未来を変える言葉

ネルソン・マンデラ 未来を変える言葉

★★

20世紀最後の偉人と呼ばれるネルソン・マンデラの発言の中から、ジャンルごとに明言をまとめた書籍です。マンデラは言わずと知られているでしょうが、南アフリカのアパルトヘイトに対して反抗したことで27年にもわたって投獄されても信念を曲げずに、最後は南アフリカの指導者となり世界から尊敬を集めた人物です。本書には革命の闘士だった時代から晩年に至るまで幅広い時代の発言がまとめられています。

私がマンデラにまつわるエピソードで印象的に覚えているのは、1994年のラグビーW杯の南アフリカ大会で日本代表から150点近くとるなど破竹の勢いで決勝まで来た、当時世界最強とされたNZ代表オールブラックスの面々が決勝の相手である南アフリカの指導者マンデラと握手したときに明らかに気圧された表情をしたというエピソードです。屈強な男たちを肉体からではなく、その偉業により精神的に圧倒したことが、大番狂わせといわれた南アフリカ大会での南アフリカチームの優勝を呼び込んだと複数のコラムニストが指摘していました。

本書にまとめられている言葉は確かに素晴らしい内容です。しかし人は言葉だけでは心を動かされることはありません。マンデラ自身の不屈で気高い行動があってこそ、本書にまとめられている言葉は意味を持ちます。本書を読んで、マンデラの人生の歩みについて深く知りたいと感じました。評価が星2つとなったのは、各ページに2‐3個の言葉のみという内容の少なさによるもので、もちろんマンデラの言葉自体は珠玉のモノばかりです。

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世界の権力が寵愛した銀行

世界の権力者が寵愛した銀行 タックスヘイブンの秘密を暴露した行員の告白

レベル3 ★★

ここ数年で米国のIRS(内国歳入庁)を中心として情報開示が進み、鉄の結束の象徴だったスイスの銀行の情報秘匿は大きく崩れましたが、本書はその崩壊の象徴的な事件の1つを扱っています。

HSBCのシステムエンジニアであった本書の著者は、モナコで生まれ育ちフランス/イタリアの両方の国籍を持ち、HSBCのプライベートバンキングで働くというユニークなバックグラウンドを持っています。モナコでとんでない大富豪があふれている世界と、フランスやイタリアの一般庶民が多くいる世界のギャップを常に見ながら育った著者は、以前から銀行システムについて懐疑的な視点を持っていました。

その視点が、HSBCで働く中で富裕層たちが世界中のタックスヘイブンを通じて脱税していることをとらえた時に、著者はプライベートバンキングの個人情報を取得してそれをフランス政府に持ち込むという行動につながりました。著者が開示した情報を元に、欧州主要国で脱税を摘発する動きが広がっています。一方、スイス当局は自国最大の産業である銀行の信頼性を傷つけた許しがたい犯罪者として著者を追い続けています。

確かに、そのプロセスはエキサイティングですが、全般的に本書に対しては失望感を持ちました。その理由としては著者の主張にどうしても首をかしげざるを得ない部分が多いからです。著者の主張の矛盾や反論については、冒頭や巻末で海外投資の第一人者である橘玲さんが解説していて、この記述は大きな助けとなります。

また、タイトルに反して著者の行動は本当の世界の権力者を追い詰める効果は持ちませんでした。せいぜい、小金持ちの脱税を暴いたくらいです。同時に、本書を読むとプライベートバンキングとは犯罪行為の温床のように映りますが、その理解もまたとても偏っています。

より広範でバランスの取れた視点からの、プライベートバンキングとタックスヘイブンについての問題提起が望まれます。

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中国のスティーブ・ジョブズと呼ばれる男

中国のスティーブ・ジョブズと呼ばれる男: 雷軍(レイ・ジュン)伝

★★

優れたインターフェースの高機能スマホを、アップルやサムスンといった一流ブランドの半分以下の値段で提供することで、中国のスマホ市場を席巻しているシャオミの創業者、雷軍(レイ・ジュン)の伝記です。

本書のタイトルにあるように雷軍は、プレゼンの時の振る舞いや服装においてスティーブ・ジョブズを模倣していると言われており、中国のスティーブ・ジョブズとして欧米メディアで紹介されることが多くなっています。また、シャオミのOSはグーグルのアンドロイドを使っていますが、独自のユーザインターフェースを開発することで、製品の見た目も、使い心地もiPhoneとそっくりに仕上げられています。

こう書くと、中国メーカーにありがちな模倣者のように聞こえるかもしれません。しかし、中国の消費者も所得が上がるとともに、海外に旅行した経験を持つ人も増え、いくら安くても単なる模倣品ではシャオミのように成功することはできなくなっています。

本書で初めて、雷軍はシャオミを立ち上げる前に、大手ソフトメーカーの社長を20代で務めるなど、中国のIT業界の興隆において重要な人物であったことを知りました。そして、今まで培ってきた中国IT業界における人脈と知見がシャオミの大成功につながっていることが分かります。ただ記述が、時系列が前後しながら進むため、中国のIT業界に詳しくない人にとっては内容が理解しづらいことが残念です。

シャオミは、スマホ業界に限らず全業界で見ても、史上最速のペースで拡大している企業で、創業わずか5年で売上1兆円を達成しました。雷軍はまだ45歳で、アリババの創業者ジャック・マーが50歳、テンセントの創業者である馬化騰は43歳です。

日本では例がない40~50歳で、時価総額が10兆円以上の企業を率いる創業者たちが、これまで製造業が中心であった中国経済の次世代の成長を駆動していくと感じさせられます。

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アップル・グーグルが神になる日

アップル、グーグルが神になる日 ハードウェアはなぜゴミなのか? (光文社新書)

★★

 

センセーショナルなタイトルですが、内容はまじめなIT業界の行く末についての予測です。エンジニアによる著作なので、スマホやウェアブル機器、最近話題のIoT(Internet of Things:モノのインターネット化)が、今後どのように発展していくのか低消費電力タイプのブルートゥースなど、技術企画の内容から予測しています。

結論からいうと、タイトルにあるようにスマホのOSで支配的になっていて、その上のアプリの課金体型までプラットフォームを抑えている、アップルやグーグルの隆盛がさらに続き、スマホに移行してから完全に米国勢に押されている日本のメーカーは、ますます劣勢になっていくという予測です。

ハードウェアのコモディティ化が進み、ソフトウェアはもちろん、その上にどのような技術的・経済的プラットフォームを築くかに、IT業界の優勝劣敗はかかっているという指摘には同意できますし、その戦いで日本企業が負け組となってしまうという予測も正しいでしょう。

以前にソニーの凋落を描いたNHKの特集番組で、ソニーをやめた技術者たちがより画質のよいテレビの開発に注力しているシーンがありましたが、これなど日本企業のハードウェア信仰の典型で、一般の消費者にとってほとんど区別できない技術進歩を、コンテンツの単なる出口の1つになりつつあるテレビパネルで実現したところで、ビジネスとしては全くうまくいかないでしょう。

せっかく、大企業をやめてベンチャーとして身軽に動けるのに、旧態依然のハード開発にこだわっている姿に暗澹たる気持ちになったところで、本書を読み他の業界でも日本企業の躍進は望めないと感じました。

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セックスと恋愛の経済学

セックスと恋愛の経済学: 超名門ブリティッシュ・コロンビア大学講師の人気授業

★★

 

センセーショナルなタイトルですが、カナダの名門ブリティッシュ・コロンビア大学で経済学を教える人気女性教授の著作です。最近、通常は経済学が研究対象としない分野における経済分析の書籍が増えてきていますが、本書もその一環といえます。

セックスや恋愛に関する様々な事象が、経済的なインセンティブに基づいたどのような意思決定から行われているかについて明らかにされています。女子学生が多い大学ほどセックスの体験年齢が低くなるといった直観に反する事実も色々と紹介され、それについての経済的な解説が加えられています。

ただ、事例が米国を中心としているため、日本とは大きく前提条件が異なるため、あまり参考にならないと感じるケースも多く、著者自身が行った研究についての事例も少ないため、やや物足りなく感じました。

本書と同様に普段は経済学が対象としない著作であれば、「ヤバい経済学」の方が数段インサイトに満ちた好著だと思います。本書では、主に一般の男女間の恋愛についてのケースでしたが、本書の著者は次回作として金銭的なやり取りが発生する恋愛、つまり風俗産業についての著作を準備しているようです。経済学的には、非常に大きな産業であるので、次回作を期待して待ちたいと思います。

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バフェット合衆国

バフェット合衆国 ――世界最強企業バークシャー・ハサウェイの舞台裏 (ウィザードブックシリーズ)

レベル3 ★★

バークシャー・ハサウェイを経営するようになってちょうど50年が経ったため、再び脚光があたっている人類史上最高の投資家ウォーレン・バフェットですが、これまで日本語でも彼についての多くの書籍が出版されています。

しかし、本書はバフェット本人ではなく、バフェットが投資をしている企業の経営者という、バフェットを支える人物たちに焦点を当てているがユニークです。バフェットは最も気に入った企業は100%株式を保有して、自身が経営するバークシャー・ハサウェイの傘下におさめます。

傾いた繊維会社だったバークシャー・ハサウェイですが、バフェットが経営するようになってから50年で、世界でも有数の巨大コングロマリットにまで成長しています。本書では、バークシャー・ハサウェイ傘下の経営者それぞれの生い立ちから、経営者として成長する軌跡、そしてバフェットの出会いと現在までの協業についてまとめられています。

バフェットのファンであった香港の投資家である著者が、米国に何度も足を運びながらまとめられた内容からも、バフェットの投資家としての価値観がよく伝わってきます。企業経営で長期に成長するには、飛び道具は必要なく当たり前のことをいかに徹底できるのか、「凡事徹底」が最も重要であることがよく分かります。

ただ、各人のインタビュー内容が定型的であるため、その人となりにまでは踏み込めておらず、さらにバフェットとの個人的エピソードもあまりなかった点については残念に感じました。

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ITビジネスの原理

ITビジネスの原理

★★

マッキンゼーやリクルート、グーグルなど10回の転職を経て、現在は楽天の取締役をつとめている著者によるIT業界のビジネスモデルについての入門書です。

多くの事業会社やコンサルティング会社での実務経験から、現在IT業界で成功している企業のビジネスモデルについて、各社どこに特色と強みがあり、どのように稼いでいるのかがわかりやすくまとめられています。そして、なぜ大成功を収めているグーグルから、規模がはるかに小さく事業エリアも大きく異なる楽天に転職することになったのかという経緯を通じて、日本のIT企業が持っているポテンシャルについても解説されています。

日本社会が持っているハイコンテクストという特性から、これまでローコンテクストの国である米国が発祥で、英語というデフォルト言語による情報発信が中心だったところに、日本のIT企業が異なった発展の方向性を打ち出せるという視点は興味深く感じました。ただ、マッキンゼーの同僚で他にも楽天に転職した知り合いがおり、彼はこの本の著者と逆に楽天からグーグルに転職したのですが、本書にあるハイコンテクストなサービスの担い手として、楽天がふさわしいのかという点にはこの知り合いの話を聞く中で疑問を持っています。この点については、この見方を覆すような展開を将来の楽天が成し遂げることに期待しています。

また、原理という言葉がタイトルにありながら、フェイスブックの広告単価が低くならざるを得ないという記述や、未来のIT機器の代表例として先日開発の中止が発表されたグーグルグラスが取り上げているなど、出版から1年が経過した現在、疑問を感じるような部分があったのは残念でした。もちろん、非常に変遷が早いIT業界のことなので仕方がない部分もあるでしょうが、IT業界のビジネスモデルのより普遍的な部分についての説明を増やしたほうが、タイトルのイメージに合致すると感じました。

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孫正義の参謀

孫正義の参謀: ソフトバンク社長室長3000日

★★

ソフトバンクの社長室長として8年以上孫正義氏を支えた著者が、入社したときには通信キャリアですらなかったソフトバンクが、どのように世界3位のキャリアにまで成長したのか、その軌跡を明かしています。

元衆議院議員からIT企業の社長室長という異例の転職をした著者ならではといえる、ソフトバンクの光の道構想や、再生可能エネルギーへの取り組み、米国第三位のキャリアであるスプリントの買収において、ソフトバンクがどのように政界への働きかけをしたのかを軸に話が展開します。

著者が民主党出身であるため、特に民主党政権時代に通信や電力といった国による規制が強い産業において、政界に巧みに働きかけたことがソフトバンクの成長の一助となったことがよく分かります。また、日本企業における米国企業の買収としては過去最高金額となったスプリントの買収時には、著者の人脈をフルに活かして上下院のキーパーソンやパウエル元国務長官など米政界の重鎮にアプローチし、支援を呼びかけ最終的にディール成功に結びつけたことが克明に描かれています。

ただ、同時に著者が元政治家であるため、ソフトバンクの成長の軌跡が主に政治面でのアプローチによる説明に偏り、ソフトバンクの創業者である孫正義氏をはじめ、ビジネス面での戦略立案についての記述があまりないことは残念に思いました。

著者も文中で指摘している通り、天才的な経営者である孫正義氏の唯一の弱点ともいえる、政治的な気配りに欠けることを著者が補完していたからこそ、政治面での記述が中心となったのでしょう。しかし、本書を手に取るほとんどの人は孫正義氏のビジョンがどのように生み出されているのかを知りたいというのが最大の動機でしょうから、本書の内容に不満を持つ人も多いと感じました。

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不動産投資 1年目の教科書

不動産投資 1年目の教科書: これから始める人が必ず知りたい80の疑問と答え

★★

不動産投資や海外投資の著作で知られる著者による最新の不動産投資の入門書です。書名からはビジネス書としてベストセラーになった「社会人 1年目の教科書」を想起させますが、内容も不動産投資の経験が豊富な著者による不動産投資をこれから始める人向けの手ほどきとなっています。不動産投資を始める際に多くの人が持つだろう疑問を80個列挙し、それに回答を与えていく形で展開しています。不動産投資について幅広くトピックをカバーした本がなかなかないので、その意味では入門書として優れているといえるでしょう。

ただ、本書では東京の不動産投資が良いとされていますが、筆者がこれまでの書籍で取り扱ってきた海外投資、特に海外の不動産投資と比較した場合の優位性について論じられていないのは物足りないところです。また、初心者向けの解説書として位置付けながら、色々な用語が出てくるのもついていけない読者が結構居るのではないかと感じました。もちろん、日本の不動産投資は税制や規制周りが複雑なので、ある程度専門用語が多くなるのは仕方がないかとは思いますが。

本書を読んで最も強く感じたのは、日本の不動産投資周りの税率がとてつもなく高いことです。シンガポールから自在に海外も含めて投資をしているケースを多く目の当たりにしているだけに、このことが日本で不動産投資を行ううえで最大のハードルとなっていると感じました。

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