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現代アート経済学

現代アート経済学 (光文社新書)

★★★

 

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現代アート経済学

現代アート経済学 (光文社新書)

★★★

先日、出演した日テレの「WOW」など資産運用の手段としてのアートについて、最近よく質問されるようになってきたので、特にアート市場全体について取り扱った書籍をいくつか読んでいます。

本書は出版が5年程前ですが、現代アートとアジア市場という現在のマーケットを活性化させている2大トレンドについてその萌芽からきちんと目をつけながら、アート市場全体についてわかりやすく解説されていますので、今後のアートシーンの展開を予測する上でも有用でしょう。

古来から特定の国やエリアの経済が勃興したときに、投資対象としてアートに注力することはよく見られてきました。あと数年で米国を抜いて、国別でアートの取扱高がトップになると見られる中国がまさにそうですし、私たちが暮らしているシンガポールもアートステージというイベントを核としてプレゼンスをあげてきています。

日本ではアートへの投資というとバブルの象徴のように思われていますが、当時高値掴みといわれた印象派やピカソの名画は今では倍以上に価格が上がっています。長期にわたって資産を継承する上でマストであるアートマーケットについての入門書としてよく仕上がっています。

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アマゾン 世界最先端の戦略がわかる

amazon 世界最先端の戦略がわかる

レベル3 ★★★

ここのところ、この書評でもアマゾンに関する書籍をよく取り上げていますが、本書は元マイクロソフトの日本法人社長である成毛さんが執筆しているだけあって、アマゾンの現状と戦略のすごみ、さらには今後のポテンシャルのすごさについて、マクロ的な経営の視点からよくまとまっています。

CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)がマイナス30日近いという財務的な視点、歴史上でも最速の勢いで成長してキャッシュカウとなっているクラウド事業AWSや、世界で1億人を超えてきているプライム会員などビジネスモデルのすごさ、こうしたサービスを支える物流などロジスティック上の優位性、さらには音声認識ソフト「アレクサ」や顧客の注文予測を実現する高度なAIや無人配送に近づいているロボティクスなど技術上の先進性など、世界最強企業とされるアマゾンの強さを支える要因が多面的に解説されています。

著者の成毛さんいわく、アマゾンのあらゆる業種・地域に際限のない成長していく様子は、もはや創業者であるジェフ・ベゾスにすら把握不可能で、人類の歴史上でもローマ帝国など限られた組織しか比肩できないという手放しのほめ方です。

私自身、現在地球上でもっとも優れていて、かつ成長ポテンシャルの大きい会社としてアマゾンとアルファベットの2社だと考えています。20世紀の石油にあたる経済の最重要資源は、21世紀に入ってからデータとなっています。データを解析するAIの分野においても、これまで世界トップと見られていたアルファベットに追いつかんばかりのペースで、アマゾンはアルファベットを上回って世界最大の研究開発費をかけています。

投資においてもビジネスでのキャリアアップについても最も知っておくべき企業アマゾンについて本書で学んでみてください。

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2022年の次世代自動車産業

2022年の次世代自動車産業 異業種戦争の攻防と日本の活路 (PHPビジネス新書)

レベル3 ★★★

自動運転を軸とした次世代の自動車の取り組みについて、日米欧中の既存の自動車メーカーと、米中を中心としたテック企業の新規参入の両面からよくまとまっています。通常の書籍であれば、既存の自動車メーカーかテック企業かのどちらかの視点から、他方への優越性について論じられることが多いですが、両者の取り組みがそれぞれの有利・不利両面バランスよくまとめられているので、表題にあるように近未来の自動車産業の趨勢について予測をするうえでよい手がかりとなります。

個人的には自動運転とシェアリングエコノミーは、現在の個人への販売を前提とした自動車ビジネスを根底からひっくり返すターニングポイントとなって、グーグル子会社のウェイモを筆頭とした新規参入プレーヤーが覇権を握る可能性が高いと見ていますが、本書を読んでGMやトヨタなどの既存プレーヤーの危機意識も相当に高いことを認識しました。

自動車産業は日本経済の外貨獲得手段として突出しており、もしここが電機産業と同じく米中のメガテック企業に崩されると壊滅的な影響があります。自分がかかわっている業種を問わず、日本経済全体の趨勢を決める自動車産業の将来について考えたい人にとってはその手掛かりとなる書籍です。

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プラットフォーム革命

プラットフォーム革命――経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか

レベル3 ★★★

米国のFAMGA(フェイスブック・アマゾン・マイクロソフト・グーグル・アップル)と中国のアリババ・テンセントに代表されるメガテック企業が世界の株式時価総額の上位を独占する状態が長らく続いています。本書では、これらメガテックを筆頭とした巨大テック企業をプラットフォーマーとして位置付け、そのビジネスにおける盤石のポジションがどのように築かれたのか、様々な企業の実際の歩みを元に解説しています。

本書の論考が傾聴に値するのは、著者が経済やビジネスの評論家ではなく、実際にテック企業を創業してニッチな分野ながらも独占的な地位を築き上げた起業家であることです。上記のプラットフォーマーたちがいかに米国や中国のクローズドなサークルの中で築き上げられてきたのか、そのインナーサークルの中にいる著者だからこそ把握できる情報も多々盛り込まれています。

私の本業での投資アドバイスにおいてもここ数年は上記のメガテック企業を中心としたテックセクターの株式への投資を主軸に据えてきました。株価のパフォーマンスからも、いかにこれらの企業のポジションが高く評価されているのかよく分かっていたつもりですが、本書を読んでプラットフォーマーとはどのような存在で、データが全てのベースにある現代においてその立場がいかに強固となっているか改めて深く理解できました。

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アマゾンのすごいルール

アマゾンのすごいルール

★★★

アマゾンの日本法人の立ち上げにかかわり、その後も10年以上にわたってアマゾンで様々なタスクを手掛けた著者が、現在世界で最も成長ポテンシャルが高いとみなされている企業アマゾンの社内プロセスのどこが優れているのか解説しています。

現在、米国で初となる時価総額1兆ドル(約110兆円)を達成する企業はどこかということが話題になっています。候補としてはアップル・アルファベット(グーグルの親会社)・マイクロソフトがあげられていますが、現在世界最大の時価総額を誇るアップルと並んで最も可能性が高いと見られているのがアマゾンです。

その期待の源泉は、アマゾンの世界で最も優れているとされるキャッシュフローコントロール力で、利益が上がらないように限界ぎりぎりまで投資を行う経営スタイルで知られています。本書ではその潤沢なキャッシュフローを支える投資効率の高さ、意思決定の迅速さなどアマゾンの強みがどのような社内ルールにより生み出されているのか分かりやすく解説されています。

もちろん、全てがアマゾン独自のルールというわけではなく、外資系企業で働いた経験がある人であれば見知っているルールもありますが、ルール設定だけでなく徹底して実行させる点でもアマゾンは優れているのでしょう。その実行力を産み出している創業者ジェフ・ベゾスにも関心がより湧く内容でした。

 

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20アンダ―20

20 under 20 答えがない難問に挑むシリコンバレーの人々

★★★

米国を代表する起業家にしてベンチャー投資家であるピーター・ティール氏が始めた、20歳以下の若者が大学には進学せずに起業の道を選ぶのであれば、10万ドル(約1,100万円)を提供するというプログラムの参加者に焦点をあてたノンフィクションです。

このティール・フェローシップというプログラムは米国で大きな話題を呼びましたが、その後の経過については知らなかったので、本書を手に取りました。結論から言うと、何名か成功者は出ているものの参加者の多くは苦戦していて、一部はフェローシップ参加後に改めて大学に進学しなおしたということです。

ただ、ティール・フェローシップもその在り方を軌道修正していて、今では若者中心を対象にしたベンチャーキャピタルよりさらに創業期の企業にフォーカスをあてたスターターに変貌してきていて、この分野で著名なYコンビネーターや500スタートアップと似た組織となっているようです。本書ではティール・フェローシップだけでなく、こうしたスターターを始めシリコンバレーの若手起業家がどのようなノリで、ビジネスに取り組んでいるのか詳しく紹介されています。

やや対象があちこちに飛んで散漫な印象も持ちますが、シリコンバレーでの起業活動に関心がある人は読んで損がない本です。

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すべての仕事を3分で終わらせる

すべての仕事を3分で終わらせる――外資系リーゼントマネジャーの仕事圧縮術

★★★

著者の岡田さんとはシンガポールで交流があり、彼の初めての著作ということで手に取ってみました。岡田さんは年中暑いシンガポールにもかかわらず、いつも巨大なリーゼントに黒い皮のコートといういでたちで、シンガポールの日本人では知らぬものが居ないほどの存在感をはなっていますが、本書の内容はそれに反して、極めて王道かつ真っ当な仕事術が展開されています。

著者はアクセンチュア・デロイト・マイクロソフトという外資系のエクセレントカンパニーで20年以上活躍してきた実績を持ちますが、こうした外資系のトップ企業と国内企業の生産性の差を、仕事を行う上での意識の違いに求めています。

部下に残業をさせて2度とこういうことを許さないと言われてから、いかに仕事を効率的かつインパクトを残せるように行うのか、著者が仕事を普段行う上で意識しているポイントがクリアにまとまっています。「完璧よりもスピードを重視」、「徹底的に無駄を省く」、「メールには即レス」、「なるべく多くの人をレバレッジする」という著者の仕事術には私もコンサルやファンド時代に意識していた内容と合致するものばかりで、とても納得感がありました。

外資系企業で働いたことがある人であれば、自然と意識することも多いでしょうが、無駄な残業がはびこり先進主要国でも生産性が最低レベルに低迷している日本では、目うろこの点が多いと思います。特に、これから自分の仕事スタイルを築いていく若い世代に学びが多いビジネススキルが満載の本です。

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世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (光文社新書)

★★★

最近関心を持っているアートに関する本かと思って手に取ったのですが、内容は欧米のビジネスエリートがアートを鑑賞するなど美意識を鍛える背景についての説明です。著者は元々経営コンサルティング会社で働いていた方ですが、従来の経営コンサルティングの中心だった定量指標に基づいてロジカルな分析を行っていく、サイエンス的な経営は直近では陳腐化していて、起業経営においても美意識に代表されるような感性が重要になってきているというのが本書の一貫したメッセージです。

この主張を強調したいがために、経営コンサルティング会社の組織構造をオウム真理教に例えるなど一部の主張を受け入れられない人もいるでしょうが、基本的なメッセージには私も賛同です。ネットであらゆる情報が瞬時にシェアされて、ロジカルシンキングやフレームワーク分析に代表される経営コンサルティング会社のスキルは世の中に広く知られています。

加えて、データをもとにした分析もAIが発達する中で人間が行うことで高い付加価値を生み出すことはますます困難になっていくでしょう。実際に本書で主張されているトレンドを裏付けるように、マッキンゼーがデザイン会社を買収したり、Airbnbに代表されるようにデザイン専攻の創業者のスタートアップが大成功を収めたりと、ビジネスにおけるアート的な感性がインパクトを持つ事例も出てきています。

もちろん、サイエンス的な要素が一切必要なくなるわけではないですが、日本では未だにあまり意識されないビジネスにおけるアートを美しいと感じることに代表される美意識の重要性を分かりやすく説いています。

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勝ち過ぎた監督

勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧 幻の三連覇

★★★

このブログで取り上げるのは初めてですが、高校野球を主題とした本です。高校野球後進国だった北海道で駒沢苫小牧を率いて、甲子園初勝利を上げてから夏の甲子園14連勝を成し遂げる離れ業を成し遂げた幸田監督が主人公です。

多くの高校野球ファンにとって、彗星のごとく現れて北海道勢初となる夏の甲子園の優勝を成し遂げ、その次の年には今やNYヤンキースの主力である田中将大投手を中心に2連覇、さらには3連覇がかかった夏の甲子園決勝で引き分け再試合となり、ハンカチ王子が居た早稲田実業に負けるという劇的なドラマは今でも心に強く残っていることでしょう。

ただ、このドラマを主導した幸田監督がなぜこの栄光の直後に退任したのか、栄光の陰にあったストーリーはほとんど知られていません。本書では、冬場の半年近く屋外での練習が困難であるというハンディを背負いながらも、駒苫をいかにして全国トップクラスの競合に育て上げたところから、栄光と直後に襲った不祥事、さらには電撃的な解任まで幸田監督の波乱万丈な歩みが詳細にまとめられています。

題材こそ高校野球ですが、ビジネスにおいても大いに参考になる栄光とその負の側面に彩られた波乱のストーリーです。常識破りの異才でなければ栄光は成し遂げられない反面、それを維持することも異才には困難であるというストーリーは、カリスマ創業者とその後の失墜を彷彿とさせます。本書を読んで思うのは、一度は創業した会社を追放されながらも不死鳥のごとくよみがえったスティーブ・ジョブズのように、幸田監督にもいつか高校野球の世界で命を燃やすような戦いにもう一度戻ってきてもらいたいということです。

高校野球に特に思い入れのない人にとっても、ビジネス全般に関心がある人には興味深い内容に仕上がっています。

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巨大アートビジネスの裏側

巨大アートビジネスの裏側 誰がムンクの「叫び」を96億円で落札したのか (文春新書)

★★★

最近、お客さんからアートについて質問を受けることが増え、さらに海外のファミリーオフィスではアートの取り扱いは大きなビジネスの1つとなっているということで、まずはアートを取り巻く現状とビジネスのメカニズムについて知りたいと本書を手に取りました。

結論としては、期待通りにアートビジネスの大枠についてよく理解できました。著者は大手オークション会社であるサザビーズの日本法人の社長で、現在は独立してアートを取り扱うエージェントとして活躍しています。

長年にわたってアートに関わり、外部から見えづらい世界の奥の奥まで知っている著者だけあって、豊富なエピソードとともに現代のアートビジネスのダイナミックな側面を分かりやすく教えてくれます。個人的には、なぜここ10年で現代アートの価格が高騰したのか、50年前の印象派の興隆と対応させる形で理解できたことが最も大きな収穫でした。

欧米ではアートは完全にグローバルかつ巨大なビジネスとなっています。購入者として著名な人物たちも著名企業オーナーやファンドマネージャー、さらにはセレブリティなど社交界の大物たちが顔を揃えています。

ゾゾタウンの創業者である前澤さんが、バスキアの作品を62億円で購入したことで欧米のセレブリティの仲間入りをして、レオナルド・ディカプリオにコレクションを見せてもらうために彼の自宅を訪れたというエピソードをメディアに目をしましたが、本書をきっかけに欧米社会でのステップアップに必須のアートについての知見を深めたいと思います。

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ウォール街のイカロス

ウォール街のイカロス─小説ヘッジファンド

レベル3 ★★★

金融業界で長く活躍しながら、このブログでも紹介した名著「ヘッジホッグ」など金融ノンフィクションを残したバートン・ビッグスによる唯一の小説です。

モルガン・スタンレーに30年以上在籍し、さらにその後もヘッジファンドを立ち上げた著者だけあって、その作品はどれも金融業界に深い洞察を元に、特にマーケット関係者には深く心に突き刺さります。

黒人と白人のハーフというウォール街のマイノリティを主人公に据えた本作品も、ヘッジファンドを中心とした金融業界についてその面白さ、刺激性、そして残酷さということが良く伝わる、迫力ある内容となっています。

ただ、小説としての出来はあまり良いとはいえません。ITバブル前夜からリーマンショック後までが本書の舞台となりますが、時系列が前後することが多く、また登場人物の心情も伝わってこないこと場面も見られ、ストーリーがうまく流れていません。

結末もイカロスというタイトルから想像できるようにハッピーエンドではありませんが、もう少し救いがあっても良いと思いました。この著者の本質はやはりノンフィクションにあると感じました。

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