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ウォール街のランダムウォーカー

ウォール街のランダム・ウォーカー <原著第10版>―株式投資の不滅の真理

レベル2 ★★★

株式投資に関する不朽の名著の第10版です。初版発行から40年が経ちましたが、「個人投資家にとっては、個々の株式を売買したり、プロのファンドマネージャーが運用する投資信託に投資したりするよりも、ただインデックスファンドを買ってじっと持っている方が、はるかによい結果を生む」というメッセージは変わりません。40年前に、1万ドルでS&P500のインデックスファンドを購入した場合(配当は再投資)、資産は46.3万ドルになり、プロの運用する投資信託を平均20.5万ドルも上回った結果からも、裏打ちされています。

インデックス投資家のバイブルとなっている本書ですが、アクティブ投資家にとっても参考になります。この本のタイトルである「ランダム・ウォーカー」は「過去の値動きから、将来の動きや方向性を予想することは不可能である」という意味で使われており、このランダムウォークと対極に位置する、株の動きは予想できると考えるテクニカル分析やファンダメンタル分析との論争についてかなりのページを割いて解説しています。

現代ポートフォリオ理論の重要な考え方である、「ポートフォリオ、ベータ、CAPM」パートは、アカデミックな内容まで突っ込んだ展開になっています。低PER戦略、小型株戦略など効率的市場仮説では説明できない株の動き、アノマリー戦略まで多岐に渡る内容もカバーしています。

今までの研究は、「投資家は合理的に行動すること」が前提でしたが、行動ファイナンスと呼ばれる新しい学問では、「人々は経済学者が思うほど合理的には行動しないものである」とし、投資家の非合理的な行動「①自信過剰、②偏った判断、③群れの心理、④損失回避願望」について解説しています。この分野は、金融機関が投資商品を作る際にも使われているので、売り手側の考えを学ぶのに役立ちます。

具体的な資産運用戦略についても書かれており、株式の理論から実践まで、投資上級者も満足できる内容になっているのはさすがです。 かなり読み応えのある本なので、じっくり腰を据えて読んでほしい本です。

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投資敗者の思考パターン

投資敗者の思考パターン (幻冬舎ルネッサンス新書 ひ 1-1)

レベル2 ★★

行動経済学の本だと思って購入したのですが違いました。そのことは補足説明として本書でも述べられていますが、正直タイトルは誤解を生むのではないでしょうか。

中立的な資産運用コンサルティング会社を運営している筆者が、個人投資家向けのセミナーや個別相談をしていく中で、投資敗者の思考パターンには大きく分けて5つのパターンがあると分析し、それぞれの問題点について解説した本です。 分かりやすく、面白い本なので、投資初心者や一度投資で痛い目にあっている個人投資家、独立系のファイナンシャル・プランナーの方向きです。

「無料セミナーで有益なものは得られない」、「情報は知っている人が少なければ少ないほど価値がある。お金の話は疑ってかかるのが賢明」、「優れた人材、高い情報収集、分析能力をもってしても、良好な運用実績を継続するのは難しい。個人の限られた知識や経験、勘やひらめきなどで勝てるほど甘い世界ではない」などの言葉には私たちも同感です。

紹介されている以下の残念な投資思考も、私たちの周りの多くの人にあてはまります。ぜひ、アクティブ運用を行う前には自分がこのパターンにはまっていないのか振り返るようにしてください。

1.お勧め商品を銀行に聞く
個別株などで痛い目にあった方が、銀行に相談しお勧めに従って、手数料の高い投信を買わされるパターン

2.売ったら損が確定するから嫌だ
個別株の選別を失敗したり、新興国債券を悪いタイミングで購入して、大きく損が出ているのですが、塩漬けにしているパターン

3.今度は○○に賭けようと思っているんだ
博識な方に多いのですが、分散・積立・インデックスのメリットを頭で理解しているのですが、自分には投資の才能があると過信し、色々な商品に手を出すパターン

地獄を見た11人の天才投資家達

地獄を見た11人の天才投資家たち

レベル2 ★★★

世の中には、投資家達の成功物語が溢れています。しかし、失敗談、それも著名な投資家のものとなるとほとんど知られていません。

金融界の人は、そして著名な投資家ならなおさら、負けず嫌いで自分の弱みを見せることを嫌います。金融業界で働いていても、誰が手ひどい失敗をしたかは知ることはあっても、どのようなミスで失敗に至ったかはほとんど知る機会はありません。

本書には11人の著名投資家による手ひどい失敗談が掲載されています。そして、各エピソードの後には個人投資家向けの教訓までまとめられています。失敗の理由は、友人を信頼しすぎた、対象業界について分かっているつもりだった、投資スタイルが変わっても成功できると思った等の、誰しも陥りがちな罠で、著名投資家であっても人の子であると良く分かります。

10~30年と長きに渡って成功した人間でも、こうした失敗から無縁ではないということは、私達も含め、いかに投資には慎重に向き合わなければいけないのか、身にしみて良く分かります。後講釈で色々とあげつらうことは簡単ですが、そうしたことをしてもこれからの投資には役立たず、まずは謙虚にならなければというのが正しい反応だと思います。

もう少し、それぞれの投資家達の歩みと、人となりを含めて失敗を引き起こす行動に至った過程に、迫って欲しいところもありますが、このような失敗談の情報が公開されること自体が貴重であり、是非、個人投資家の方に読んでもらいたい好著です。

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細野正宏の世界一分かりやすい株の本

細野真宏の世界一わかりやすい株の本

レベル1 ★★★

「数学が本当によくわかる本」シリーズが、累計200万部を超える大ベストセラーとなった細野正宏さんの株の入門書です。

この「世界一わかりやすい株の本」は2005年に出版され、使われている事例は少し古いものの、株式投資の基本的な考え方については今でも十分に参考となります。

各自で考える問題が随所にあり、新聞やニュースを見て、自分の力で投資の判断を出来るような力が、自然と身についていく構成になっています。また、著者が実際に成功した投資事例も載せてあり、株式投資の知識が身につくだけでなく、個人投資家が株式投資で成功するために、売買の考え方についても解説されています。

経済本で日本初のミリオンセラーになった「経済のニュースがよくわかる本」シリーズの最新版「最新の経済と政治のニュースが世界一わかる本!」もお勧めです。私達も、セミナーや書籍で初心者向けのコンテンツを作っていますが、非常に参考になる内容です。

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株式投資

株式投資 第4版

レベル2 ★★★★

1990年代半ばに初版が出版されて以来、株式投資の中上級者にとっての名著と知られているものの第4版です。

本書の魅力は、そのデータの豊富さにあります。米国市場の株式や長期債、短期債についての、配当や上場廃止、デフォルトも含めた正確なリターンのデータがなんと1800年以降、200年分も載っています。また、物価推移も勘案した実質リターンも分かるので、長期投資家にとってどれくらいの実質リターンが見込めるのかが分かり、非常に役立つと共に、長期投資の有効性が超長期的なデータから証明されていて勇気づけられます。

実質リターンの話もそうですが、ETFやグローバル分散投資の有用性など、S&Sのセミナーで扱っている内容がほぼカバーされているので、セミナーを聞いた後の復習・ステップアップの教材として最適です。

このような研究がなされている、米国の金融学会はやはりすごいなと読後に脱帽しました。歴史的名著の★5つをつけるか非常に迷いましたが、行動経済学など最新の研究成果の分量が少し物足りなかったので、★4つとしました。

株式投資を知的に究めていきたい方は必ず読むべき本です。

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相場ローテーションを読んでお金を増やそう

相場ローテーションを読んでお金を増やそう

レベル2 ★★★

相場ローテーションという題名から、数日単位の短期トレードのテクニカル分析について解説した本と思われる方もいると思いますが、過去100年程度の非常に長期のマーケットの動向を分析した、骨太の本です。

米国株式と米国の長期金利・不動産価格との関係に始まり、日本株や、金・原油といったコモディティまで幅広い商品について、過去、どのようなパターンが見られたかが分析されています。分析から導かれた法則は、米国のREIT指数が一定以上下落した場合は、後を追って株価も下落する確率が高く、米国・日本株共に売却をした方が良いなど、個人投資家にとっても非常に参考になる内容です。

本書の価値を高めているのは、2008年初頭の出版と、まだその時点ではサブプライム危機が本格的な金融危機、経済不況につながるかの意見が分かれていた段階で、深刻な危機に陥る可能性が高いと的確に予想していたことです。20年以上、資産運用のビジネスに携わってきた著者が贈る、個人投資家への”渾身の一冊”と呼ぶにふさわしい好著です。

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イェール大学CFOに学ぶ投資哲学

イェール大学CFOに学ぶ投資哲学

レベル2 ★★★

200億ドル以上の運用金額を誇る、世界屈指の機関投資家、イェール大学の寄付基金の運用責任者による投資全般に渡る解説書になります。

ウォール街でデリバティブの商品設計担当者をしていた著者は、1985年に現職の名門イェール大学の寄付金の運用責任者に任命され、2005年までの20年間に平均リターン16.1%という非常に素晴らしい実績を残します。米国の名門大学の寄付基金はハーバードを始め、非常に規模が大きいため、投資に関する最新かつ本当の情報が入ってくる立場にあります。

そうした豊富な情報により、株式・債券からオータナティブに至るまで、非常に広範な投資商品について解説がなされています。そして、投資信託を始めいかにウォール街が多額のコストを個人投資家に課して、食い物にしているのかがこれでもかと解説されています。

日本では投資商品を販売している金融機関の圧力が強く、中立の立場からの投資家にとって有益な投資情報に乏しいことが私たちの起業のきっかけでしたが、本書はまさにそうした有益な情報が提供されています。投資についてある程度、知識・経験がある人がステップアップするのに非常に有用な本です。

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行動経済学 ‐感情に揺れる経済心理

行動経済学―感情に揺れる経済心理 (中公新書)

レベル2 ★★★

従来の経済が前提としていた人間像は、全ての事象が発生する確率と、そこから得られるリターンを完全に把握でき、さらにそれを論理的に分析し、最適な選択を必ず行うという、サイボーグの化け物のようなものでした。

しかし、そのような人間像では、バブルや恐慌のような経済の好不況の激しさが説明できないだけではなく、たばこやギャンブルにのめり込むなど、日常の様々な行動も全く説明できません。本書の中でも例として取り上げられていますが、たばこはその健康に対するリスクの大きさが完全に証明されているにもかかわらず、喫煙者は世界中に数十億人存在します。

宝くじや、カジノや競馬などのギャンブルなども長期的に繰り返せば、運営者のリターンの割合だけ負けると分かっているのに、中毒者のように大金を注ぎ込んでしまう人は後をたちません。

行動経済学は、そうした人間の典型的な行動パターンと、それが生み出されるメカニズムがどういうものかを把握し、現実に近い人間像を前提として経済学の理論を再構築する野心的な試みです。行動経済学の第1人者によって、分かりやすく行動経済学の理論が発展してきた経緯と、最新の研究の動向が説明されています。

この行動経済学の内容をしっていることは、投資をするときに非合理なふるまいをして損を出さないためにも非常に参考となります。インデックス運用からアクティブ運用にステップアップしていきたいと考える人はぜひ本書で行動経済学のさわりだけでも理解しておいてください。

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新賢明なる投資家

新賢明なる投資家 上~割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法~《改訂版――現代に合わせた注解付き》 (ウィザードブックシリーズ)新賢明なる投資家 下~割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法 《改訂版――現代に合わせた注解付き》 (ウィザードブックシリーズ)

レベル2 ★★★

初版の「賢明なる投資家」が書かれたのは何と今から60年以上前の1949年です。しかし、書かれている内容は全く色褪せることがありません。本書が出版された当時は、大恐慌により株式市場が傷ついたままで、株式=ギャンブルと見なされていました。それを、知的な人間がその思考力を駆使してリターンを得る場まで、昇華させるきっかけとなったのが本書でした。

値動きに惑わされず、株式を企業の所有権の一部として本質的価値を見極め、価格がその価値を下回る時にのみ購入するというバリュー投資のスタイルは、この本により初めて世に生み出されました。周囲が熱狂している時も、絶望している時も常に冷静に本質的な価値を見極め、株価が正当なレベルまで戻した時に売るという姿勢は、マーケットで長期的に成功する上で不可欠な姿勢です。

グレアムの一番弟子のバフェットによる巻末の補遺も秀逸です。経済学者のお偉いさんで効率的な市場なる幻想を信じている人たちは、マーケット平均を長期的に上回ることは不可能だと言っています。しかし、グレアムの弟子たちの中から4人も、10年以上の長期に渡って年率でS&Pのリターンを7%以上上回る実績を残しているという強烈な反証が示されています。

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