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投資以外のアーカイブ

宇宙ビジネスの衝撃

宇宙ビジネスの衝撃――21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ

★★

今年に入ってから、イーロン・マスク率いるスペースXが立て続けにロケットの再使用に成功し、さらには年内の有人飛行も予定しているなど、日本でも米国の民間企業による宇宙開発の報道は増えてきています。

宇宙ビジネスが注目される最大の理由は登場人物が大物ぞろいであることです。民間企業の有人宇宙飛行については、上記のイーロン・マスクに現在世界一の富豪であるアマゾンの創業者ジェフ・ベゾス、ヴァージン・グループの創業者リチャード・ブランソンといういずれも強烈なキャラクターをした3人のビリオネアがしのぎを削っています。

それ以外にも、グーグルの創業者であるラリー・ペイジや映画監督ジェームズ・キャメロンが小惑星の資源探査企業であるプラネタリー・リソーシーズに巨額の出資をしたり、イーロン・マスクは最終的に2040年には100万人単位の火星移住を目指していたりするなど刺激的なエピソードが満載です。

著者自身がこうしたビジネスに関わっているわけではないので、本書の情報は広く公開されているものが中心ですが、米国を中心とした民間企業がどのように宇宙開発を主導し始めているのか、現状を把握するのには適した内容となっています。

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20アンダ―20

20 under 20 答えがない難問に挑むシリコンバレーの人々

★★★

米国を代表する起業家にしてベンチャー投資家であるピーター・ティール氏が始めた、20歳以下の若者が大学には進学せずに起業の道を選ぶのであれば、10万ドル(約1,100万円)を提供するというプログラムの参加者に焦点をあてたノンフィクションです。

このティール・フェローシップというプログラムは米国で大きな話題を呼びましたが、その後の経過については知らなかったので、本書を手に取りました。結論から言うと、何名か成功者は出ているものの参加者の多くは苦戦していて、一部はフェローシップ参加後に改めて大学に進学しなおしたということです。

ただ、ティール・フェローシップもその在り方を軌道修正していて、今では若者中心を対象にしたベンチャーキャピタルよりさらに創業期の企業にフォーカスをあてたスターターに変貌してきていて、この分野で著名なYコンビネーターや500スタートアップと似た組織となっているようです。本書ではティール・フェローシップだけでなく、こうしたスターターを始めシリコンバレーの若手起業家がどのようなノリで、ビジネスに取り組んでいるのか詳しく紹介されています。

やや対象があちこちに飛んで散漫な印象も持ちますが、シリコンバレーでの起業活動に関心がある人は読んで損がない本です。

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すべての仕事を3分で終わらせる

すべての仕事を3分で終わらせる――外資系リーゼントマネジャーの仕事圧縮術

★★★

著者の岡田さんとはシンガポールで交流があり、彼の初めての著作ということで手に取ってみました。岡田さんは年中暑いシンガポールにもかかわらず、いつも巨大なリーゼントに黒い皮のコートといういでたちで、シンガポールの日本人では知らぬものが居ないほどの存在感をはなっていますが、本書の内容はそれに反して、極めて王道かつ真っ当な仕事術が展開されています。

著者はアクセンチュア・デロイト・マイクロソフトという外資系のエクセレントカンパニーで20年以上活躍してきた実績を持ちますが、こうした外資系のトップ企業と国内企業の生産性の差を、仕事を行う上での意識の違いに求めています。

部下に残業をさせて2度とこういうことを許さないと言われてから、いかに仕事を効率的かつインパクトを残せるように行うのか、著者が仕事を普段行う上で意識しているポイントがクリアにまとまっています。「完璧よりもスピードを重視」、「徹底的に無駄を省く」、「メールには即レス」、「なるべく多くの人をレバレッジする」という著者の仕事術には私もコンサルやファンド時代に意識していた内容と合致するものばかりで、とても納得感がありました。

外資系企業で働いたことがある人であれば、自然と意識することも多いでしょうが、無駄な残業がはびこり先進主要国でも生産性が最低レベルに低迷している日本では、目うろこの点が多いと思います。特に、これから自分の仕事スタイルを築いていく若い世代に学びが多いビジネススキルが満載の本です。

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サピエンス全史

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

★★★★

人類が種として確立してから現代にいたるまでの250万年の歩みを縦横無尽に語った壮大なスケールの作品で、世界中のリーダーから大絶賛されたことでベストセラーとなっています。

移動の連続で中々こうした大著を読み切るタイミングがなかったのですが、日本に年末年始に滞在した時を活かして読み切りました。各界で絶賛されていたことで期待値は相当に高かったのですが、その期待にたがわない示唆に富んだ内容でした。

様々な旧人類の中からホモサピエンスが生き残ったのはイメージを共有する能力であった、人類の数を大幅に増やすことを可能にした農業革命は個々人の生活レベルを実は大幅に引き下げる負の側面もあったなど、驚愕の事実が次々と豊富なデータや事例をもとに語られていて、読んでいてさらに調べたくなる事象が沢山見つかる知的刺激に満ちた作品です。

前半は人類のこれまでの長い歩みについて、後半は現代社会を語る上で欠かせない科学や経済について記述が割かれています。本書の最終章は「神になった動物」ですが、欧米では本書の続編である「ホモデウス」が発売されて、こちらも大きな話題となっています。

ホモサピエンスが種として生き残る原動力となったイメージを共有する力と、AIや遺伝子操作といった最新のテクノロジーが組み合わさった時に、人類はどのような存在となるのかというこちらも途轍もないスケールの作品のようですから、今年9月の日本語版の発売を楽しみに待っています。

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勝ち過ぎた監督

勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧 幻の三連覇

★★★

このブログで取り上げるのは初めてですが、高校野球を主題とした本です。高校野球後進国だった北海道で駒沢苫小牧を率いて、甲子園初勝利を上げてから夏の甲子園14連勝を成し遂げる離れ業を成し遂げた幸田監督が主人公です。

多くの高校野球ファンにとって、彗星のごとく現れて北海道勢初となる夏の甲子園の優勝を成し遂げ、その次の年には今やNYヤンキースの主力である田中将大投手を中心に2連覇、さらには3連覇がかかった夏の甲子園決勝で引き分け再試合となり、ハンカチ王子が居た早稲田実業に負けるという劇的なドラマは今でも心に強く残っていることでしょう。

ただ、このドラマを主導した幸田監督がなぜこの栄光の直後に退任したのか、栄光の陰にあったストーリーはほとんど知られていません。本書では、冬場の半年近く屋外での練習が困難であるというハンディを背負いながらも、駒苫をいかにして全国トップクラスの競合に育て上げたところから、栄光と直後に襲った不祥事、さらには電撃的な解任まで幸田監督の波乱万丈な歩みが詳細にまとめられています。

題材こそ高校野球ですが、ビジネスにおいても大いに参考になる栄光とその負の側面に彩られた波乱のストーリーです。常識破りの異才でなければ栄光は成し遂げられない反面、それを維持することも異才には困難であるというストーリーは、カリスマ創業者とその後の失墜を彷彿とさせます。本書を読んで思うのは、一度は創業した会社を追放されながらも不死鳥のごとくよみがえったスティーブ・ジョブズのように、幸田監督にもいつか高校野球の世界で命を燃やすような戦いにもう一度戻ってきてもらいたいということです。

高校野球に特に思い入れのない人にとっても、ビジネス全般に関心がある人には興味深い内容に仕上がっています。

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Airbnb Story

Airbnb Story 大胆なアイデアを生み、困難を乗り越え、超人気サービスをつくる方法

★★★★

日本では民泊と呼ばれる一般の住居を旅行者に貸し出すシェアリングサービスの世界最大手Airbnb(エアビーアンドビー)の創業物語です。日本では、ウーバーやエアビーが原則禁止されているために国内で生活しているとシェアリングビジネスのインパクトについては把握できませんが、世界中でもはや新たなインフラと呼べるほどの存在感となっています。

私たちもよほど特別な体験をさせてくれるホテルを除いて、外国を旅行するときはエアビーを使うようになっています。ホテルより圧倒的に安く、かつ住居なので広いスペースを使えることが魅力です。周りにレストランが多い都市部であれば食事をするにも困りませんし、デパートなどで買ってきたり、宅配を頼んだりすることもできてその日の気分で柔軟な旅ができます。

配車アプリの最大手であるウーバーの創業者トラヴィス・カラニックと違って、エアビーの創業者はあまりメディアで取り上げらないので、これまでプロフィールについては何も知りませんでしたが、デザインを学んだ2人とエンジニアというスタートアップの創業者としてはユニークなバックウラウンドのトリオです。

金融危機後の節約志向と、SNSの浸透によるオープンなマインドの若者を中心にエアビーは爆発的に普及して、創業からわずか8年で企業価値は300億ドル(約3.3兆円)を超えるところまで成長してきています。本書では、この超有望企業が上記のようにビジネスとは縁遠いバックグラウンドで、かつビジネス経験もほとんどなかった創業者たちにより、どのように成長してきたのか詳細にまとめられています。

本書を読んで感じるのはシリコンバレーのスタートアップを成長させる生態系の分厚さです。エアビーの創業者たちも倒産寸前のところから、世界で最も名高いスターターであるYコンビネーターのプログラムに参加したことが転機となって成長軌道に乗り、シェアリングサービスという新しい産業において急成長する中で生まれる様々な軋轢に対して、先輩起業家やベンチャー投資家からのアドバイスで切り抜けることが出来ました。

本書を読むと未だシェアリングサービスの利用自体を厳しく規制する日本政府の姿勢に暗澹たる気持ちにさせられます。既得権益との衝突がありながらも、消費者からの支持を背景に柔軟に制度設計をして有望ベンチャーを世界的な企業に成長させている米国のベンチャー産業と当局の凄みにしばらく米国経済の優位は揺るがないと感じさせられます。

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数学的な宇宙

数学的な宇宙 究極の実在の姿を求めて

★★★★

難しそうなタイトルの大著ですが、期待にたがわぬ骨太な大作です。著者は情報理論からのアプローチで宇宙の姿を解き明かす気鋭の物理学者です。現在はMITの教授を務めていますが、最新の宇宙理論について極力専門的な用語や記述を排して、分かりやすく解説してくれています。

これまでも私たちが暮らす宇宙は、多世界のうちの1つである可能性が高いという話は数多くの本で読んできましたが、本書ではそうした物理的な多世界のもっと根底には数学的構造が異なる多世界が広がっているという新たな仮説が展開されています。

ただ、その著者の最新の仮説に行きつくまでに、なぜこの宇宙は多数の宇宙の中の1つに過ぎないと多くの物理学者が考えているのか、量子力学や宇宙論の発展のプロセスを丹念に追いながら解説してあるので、素人にも議論の過程が追いやすくなっています。

普段、マーケットという短期的な事象を相手にしていると、本書のような宇宙論を読むと視野が広がってとても良い知的なリフレッシュとなるのですが、本書の最後で滔々と展開されている数学的構造の多世界理論はこれまで目にした宇宙論の中で最も壮大なフレームワークで、思わず息が深くなりました。

この仮説が裏付けられるような検証が生きている間になされるととても興奮するだろうなと楽しみにしています。

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フェイスブック 不屈の未来戦略

フェイスブック 不屈の未来戦略 (T's BUSINESS DESIGN)

★★★★

フェイスブックの経営について書かれた本はあまたありますが、この本を際立たせているのは著者が経営幹部としてフェイスブックで長く働いた経験を持っていることです。ザッカーバーグやサンドバーグを始めフェイスブックを率いるリーダーたちを近くから見ていただけあって、フェイスブックのここまでの歩みについて迫真の描写が随所に展開されています。

世界の時価総額ランキングは、米国のテック企業が独占しています。その中でも本書で取り上げられているフェイスブックに、アップル、グーグル、マイクロソフト、アマゾンの5社は、事業規模でも技術的な先進度でも、さらには創業者のカリスマ性でも傑出していて、FAMGAと総称されています。

ただ、フェイスブックがこのように米国を代表するテック企業に登り詰めるまでには多くの紆余曲折がありました。今ではフェイスブックユーザに当たり前となっているニュースフィードも導入当初は強い反発にあいましたし、創業当初には今やほぼ姿を消してしまったマイスペースが先行していました。

上場直後にもモバイルシフトへの懸念が拡大して株価は半値以下にまで下がりましたし、ツイッターやスナップチャットという新興のSNSにとってかわられるという観測も定期的に浮上しました。しかし、ザッカーバーグを始めフェイスブックのリーダーたちはこれらの危機を見事に切り抜け、ワッツアップやインスタグラムという潜在競合も自社に取り込んでさらに成長させ、今や世界のデジタル広告市場をグーグルと2分するまでになっています。

本書ではなぜこのような成長をフェイスブックが成し遂げられたのか、当時の社内の声を多数引用しながら鮮やかに描かれ、まるで社内で自分が同じ成長を共有したかのようによく理解できます。フェイスブックを始め米国のテック企業に関心のある人はもちろん、業種を問わず起業や経営に興味がある人には必読の超オススメ本です。

 

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孫正義 300年王国への野望

孫正義 300年王国への野望

★★★★

3兆円でのアーム社の買収や10兆円ファンドの設立など、ますます活動のスケールが拡大しているソフトバンクの孫社長ですが、これまでにも彼の生い立ちやキャリアについての書籍は数多く出版されてきました。

このブログでもそうした書籍のいくつかを取り上げてきましたが、本書はその中でも傑出した出来栄えです。本書は孫社長のソフトバンク起業当初から現在までのビジネスマンとしてのキャリアを丹念に追っています。これまでの書籍は、孫社長の出自にフォーカスが当たったものが多かったですが、本書ではこれまであまり語られてこなかった創業当初の苦労話が数多く登場します。

今でこそ何兆円ものディールで世界を騒がせている孫社長ですが、創業当初は苦難の連続でその度に恩人が表れて何とか切り抜けていくエピソードの数々には同じ事業を営む者として勇気づけられました。世界に冠たる起業家となった今でもこの頃の恩人への感謝を忘れずに、必ず年1回は御礼をする場を設けているエピソードからも情に厚い孫社長の人柄が伝わってきます。

ニケシュ・アローラ氏への引継ぎやアーム買収の経緯、さらにはトランプ大統領との会談の誰も知らなかった舞台裏など、最新のトピックについても本人や周辺のコメント共に深く切り込まれています。創業期から直近に至るまでの超長期に渡ってこれほど孫社長に肉薄した筆者の取材力には感嘆するしかありません。

世の中から見れば極貧の幼少期から世界的な大富豪にまで上り詰めた超サクセスストーリーですが本人は全く満足していないことが分かります。多くのビジネスマンに前向きなパワーを与えてくれる力作ですから多くの人に手に取ってほしいと感じました。

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ギリシャ人の物語2

ギリシア人の物語II 民主政の成熟と崩壊

★★★★

全15冊からなる「ローマ人の物語」があまりに名高い塩野七生さんのギリシャ人の物語の2作目です。前作が、ペルシャ戦役が中心であったところから、本作では民主主義の巨人ペリクレスを中心として、アテネにおける民主制に焦点があたっています。

ローマ人の物語はもちろん、ルネッサンス期に関する著作など、塩野さんの作品はほぼ全て読破しています。厳密に歴史を追っていくのではなく、まるで眼前に展開されているかの如く、数百年/数千年前のドラマが生き生きとした人物描写により展開されるので、歴史の流れがすっと頭に入ってきます。

同時に、人の世の物語は時代を超えた普遍性があり、読後に様々なことを考えさせられます。まるで、今の世界の流れを予測していたように、本作では民主主義により興隆したアテネが民主主義により没落していく姿が描かれています。誰しもトランプ大統領の米国や、ブレグジット後の英国の行く末と重ね合わせる部分があるでしょう。

ただ、こうした憂鬱な読後感だけでありません。塩野さんはローマ人の物語のカエサルやルネッサンス期のチェーザレ・ボルジアに代表されるように、自身が敬愛する人物の描写が白眉ですが、本書にはアルキビアデスという魅力的な人物が登場し、彼に関する描写はやはり冴えわたっています。

次回作は1年後となるようですが、アレクサンダー大王が登場するようです。麒麟児が大好きな塩野さんが、この人類の歴史上でも最高の部類の麒麟児をどのように描くのか今から楽しみです。

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論語と算盤と私

論語と算盤と私―――これからの経営と悔いを残さない個人の生き方について

★★★

中々、仰々しいタイトルですが、30そこそこという異例の若さで斜陽だったミクシィの社長に就任し、短期間での立て直しに成功して、現在はスタンフォード大学のMBAの講師として活躍している朝倉さんが書いた、テンポの良い企業論です。

本書の中でも朝倉さんの異例の経歴については紹介されていますが、中学卒業後プロのジョッキーを目指してオーストラリアに渡るが身長が伸びすぎたために断念し、その後猛勉強により東大法学部に進学し、学生中に起業した後にマッキンゼーに入社して、再びスタートアップに戻った後にミクシィの社長になるという激動の内容です。

私にとっては、朝倉さんはマッキンゼー時代の後輩にあたり面識がありますが、上記の波乱のキャリアの苦労を感じさせない飄々とした好青年です。本書も、彼の人柄に沿う形で、様々な立場から企業を見てきた人ならではの多様な視点から、明快にあるべき企業の姿が語られています。

本書に書かれている内容は伝統的な日本の大企業観とは相いれないものあるでしょうが、少なくともグローバルのビジネスシーンでは当たり前とされているものです。ただ、語り口にこれまでの「海外ではXXX」という上から目線のコンサルタント的押しつけがましさが一切なく、日本の上場企業のトップとしても苦労した朝倉さんだけあって、すっと心に入る形で提示されています。

若い人にとってはキャリア論としても貴重な示唆に富むでしょう。様々な分野に若くして該博な知識を持つ朝倉さんならではの骨太な企業論、キャリア論をぜひ特に若い世代の方に読んでほしいと思います。

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カジノとIR

カジノとIR。日本の未来を決めるのはどっちだっ! ?

★★

世の中ではハイパークリエイターという肩書や、沢尻エリカさんの元旦那といったところばかりがクローズアップされている著者の高城氏ですが、パーマネントトラベラーとして世界中を旅して各国の最新事情に詳しく、東京でのカジノ解禁についてのパネルのメンバーであったこともあって、世界中のカジノの実態がコンパクトにまとまっています。

トランプ次期大統領との会談の直後に急ピッチでカジノ法案が可決されたために、その背景にあるメカニズムについて色々なうわさが飛び交っていますが、めまぐるしい展開から議論が十分ではないとカジノに対して批判的な国民が過半を占めているようです。

本書では日本で今後どのようなカジノリゾートを作っていくべきか、最もお手本になると著者が考えているシンガポールのIR(統合型リゾート)を中心に、各国のカジノの展開について網羅的にまとめられています。日本では、そもそもIRがどんなものか知っている人が少なく、これ以上ギャンブル中毒者を増やすことにつながるという、IRの本質とはあまり関係ない議論ばかりが先行しています。

シンガポールで暮らしていて、マリーナベイサンズというIRによりシンガポール経済が活性化している成功例を目の当たりにしているだけに、今後の日本のカジノのあるべき姿について考える上では本書の内容は最低限の議論のベースとして把握しておくべきでしょう。

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