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大統領を操るバンカーたち

大統領を操るバンカーたち(上)──秘められた蜜月の100年大統領を操るバンカーたち(下)──秘められた蜜月の100年

レベル3 ★★★★

日本語のタイトルを見ると怪しげな陰謀論と思う人もいるかもしれませんが、上下巻で800ページにもなる大作で、20世紀初頭からリーマンショックとその後まで100年以上に渡るウォール街と時の政権との関係が詳細にまとめられた大著です。

本書は米国の政治と金融との関係がメインテーマですが、米国の金融史を一気通貫で学ぶ上でも非常に参考となります。米国は20世紀以降、1907年、1929年、1973年、2000年、2007年と5回の金融危機を経験していますが、その時のマーケットの状況がどうだったのか、そして当時の政権がどのように金融界と一体となって危機の収束に尽力したのかがよく分かります。

最初の1907年の金融危機の際には、ウォール街の最高神とも称されたJPモルガンが個人宅に金融界の重鎮を集めることで危機の収束にあたります。1929年の大恐慌は、上記の5回の金融危機の中でも最悪の金融危機であったため、何人もの大統領が問題解決に尽力するも、第二次大戦まで悪影響が尾を引いたことが、時系列でまとめられています。

本書を読むと、20世紀に2度の世界大戦を乗り越え、米国が世界の最強国に登り詰める過程において、いかにウォール街が大きな役割を果たしのかがひしひしと伝わってきます。ただ、時代とともに大統領たち政権メンバーと金融界の関係性は変容してきています。

上記のように20世紀前半の金融危機では大統領と金融界の重鎮との個人的関係が重きをなしていたのに対して、近年は米国の金融業は巨大な権力システムとなり、時の政権はなるべく金融界に自由にさせることのみにフォーカスするようになってきています。

そして、旧権力の打破を訴えてトランプ政権でも、ゴールドマン・サックスやPEファンドを中心とした金融出身のメンバーが経済閣僚の中枢を占め、この状況に拍車が掛かっているように見えます。リーマンショックを中心としたサブプライム危機により、米国を始め世界全体の経済が深く傷ついたにもかかわらず、禊もほとんどなくさらに力を強めている米国の金融業界が今後どのように変容していくのか、100年にわたる歴史を学ぶことで予見できることは多いでしょう。

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